サステナビリティSustainability

ベトナムへの学校建設

ベトナム社会主義共和国に小学校・図書館を建設

~「教育の先に明るい未来がある」と示すことで教育の持続性を支える~

学校給食サービス事業を中心に食を通じて教育に関わる企業として、未来を担うアジアの子どもたちの教育環境の整備により、日本の子どもたちと双方向型の教育支援を実現したい。株式会社ニッコクトラスト創立80周年を機に検討をはじめました。
ただ校舎を建設して傷めば放置されてしまうのではなく、未来に持続する為の仕組みが大切だと考え、東南アジアに学校建設の実績があるNPO法人の中からアジア教育友好協会(以下「AEFA」とします)と協定を締結し「社会貢献」の象徴的な活動として、ベトナム社会主義共和国バグザン省カムリ社への学校校舎、図書館の建設及び教育支援を行っていきます。

建設予定地

建設予定地

現地に合った完成後のフォローで持続・自立を支えます

AEFAは村人参加の学校づくりで建設や修繕を行い、現地に合った完成後のフォローで持続・自立を支え、日本の小中学校とフレンドシップ交流などを現地のNGOとパートナーシップを組んで活動しています。また、ベトナムは地方の少数民族を中心に貧困層が多数存在しており、社会・生活面の向上と貧困削減、格差是正を図る支援が重視されている状況です。貧困問題解決への一番の近道は教育であるため、子どもたちの視野を拡げ、考える力を養うために重要な読書ができるよう、800冊の本が備わった40人程度が収容できる図書室も校舎に併設して建設することにしました。また、将来的に給食の提供も目論んで学校菜園や地域菜園を設置することも検討しています。これが実現すると学校菜園に参加することで子供たちは、化学肥料を使わない有機農法や安全性、栄養価の高い農作物を食べることの重要性を学んでいくことができ、食育活動にも繋がっていきます。

建設の進捗状況

新校舎建設予定地 - 中学校に隣接した5000平方メートルの土地

ベトナムの初等教育の普及率は改善が著しく、小学校の就学率は95%を超えています。一方で、中学校の就学率は約80%、高校は約60%と、農村地域・山岳地域を中心に中等教育以上の教育の就学率が低い現状があります。
ベトナム政府は、この都市と農村部の教育格差の是正に取り組んでおり、バクザン省も、カムリ社のような農村地域の教育環境整備を望んでいますが、資金は潤沢ではなく限られた予算の中での改善を模索しています。

新校舎建設予定地

着工式

株式会社ニッコクトラストの創立80周年記念事業の一環である「ベトナム社会主義共和国 カムリII小学校及び図書館の建設」につきまして、新型コロナウィルス感染拡大の影響により遅れておりましたが、2021年10月15日、着工式が無事執り行われました。 着工式では、関係者の健康と安全、無事の完成が祈られ、地域コミュニティ・子どもたち・先生方も待ちに待った学校と図書館プロジェクトが、現地でいよいよ動き出しました。

着工式
着工式

現地からのメッセージ動画

建設中(11月30日現在)

10月15日から着工され、コロナ禍での遅れを挽回すべく、地元の建設業者を中心に全力で工事を行っています。5教室の校舎と図書館ともに地縄張り、遣り方、堀削工事を経て鉄筋コンクリートに必要な鉄筋を組み立てます。次に型枠を組み、アンカーボルトを設置し、型枠の中にコンクリートを流し込む「コンクリート打設」を行い、11月30日現在、型枠を外すまで日数を置いている養生の状態です。今後は型枠を外し仕上げることでようやく基礎工事が完了し、壁の工事に入っていく予定です。
新たな変異株の影響が懸念されますが、このまま順調に工事が進捗すれば来年2月には竣工できる見通しです。完成が楽しみです。

養生の様子

養生の様子

型枠組みの様子

型枠組みの様子

建設中(12月29日現在)

教室の校舎は壁の立ち上げを経て屋根の取り付け工事が終了し、壁のしっくい塗りを行っています。図書館は壁の立ち上げとしっくい塗りが終了し、これから屋根の取り付け工事に入っていく予定です。コロナ禍での遅れを挽回すべく、地元の建設業者を中心に今年2月の竣工を目指しています。

しっくい塗りの様子

しっくい塗りの様子

建設中の図書館

建設中の図書館

各施設の完成(1月28日現在)

コロナ禍での遅れを挽回し、外壁もきれいに塗装され、5教室及び教員室の校舎、トイレ、図書館の各施設が完成しました。図書館の外壁はニッコクトラストのコーポレートカラーで塗装して頂きました。今後は校舎への備品搬入と壁画のペインティング、図書館内には800冊の本とパソコンなどの備品設置、屋外にはテーブルやベンチ、植栽や花壇などが整備され竣工となる予定です。

完成された校舎

完成された校舎

コーポレートカラーで塗装された図書館

コーポレートカラーで塗装された図書館

建物の竣工(2月12日)

現地NGO(CSD)と建設業者がカムリⅡ小学校の5教室、教員等の学校校舎、トイレ、井戸及び図書館の最終チェックが行われ、現地へ問題なく引き渡しできることを確認し、建物が竣工しました。

完成した校舎の外観

完成した校舎の外観

モザイクモニュメント(記念碑)

モザイクモニュメント(記念碑)

教室の内部①

教室の内部①

教室の内部②

教室の内部②

教員室の内部①

教員室の内部①

教員室の内部②

教員室の内部②

トイレ外観

トイレ外観

トイレ内部

トイレ内部

図書館内部

図書館内部

会社名が入ったドナープレート

会社名が入ったドナープレート

開校式を開催(2022年9月15日)

2022年9月15日、約1年遅れで小学校の開校式と図書館の開所式を開催しました。
当日は児童をはじめ、父兄、村人など約300名が参加し、当社からは若生社長はじめニッコクトラストベトナムを含め6名が出席しました。開校式を祝うような天気に恵まれ、終始生徒たちの笑顔に包まれて約3時間の式典が執り行われました。

開校式を開催

式典は校歌の合唱と歓迎のダンスで始まりました。続いてルックナム郡人民委員会代表、カムリⅡ小学校校長から、「新校舎ができて、子どもたちの顔には明るい光が溢れています。教員も、安心して心のこもった授業をすることができます。私たちは、次のことをお約束します。責任をもった指導で、児童の創造性と主体性を発揮できる授業をすること。校舎を効果的に使い、美しく保つこと。ご支援はずっと忘れません」といった内容のスピーチを頂きました。

人民委員会
校長

当社の若生代表取締役社長から生徒へ「この校舎と図書館でいっぱい勉強して、たくさん本を読んで、ベトナムの将来に役立つように頑張って」と話し、ベトナムNGOのCSD代表アインさんからは「生徒たちがいい環境で勉強して役に立つの知識を得て、友達や経験などいっぱいできたらすごくいい」と話されました。
834名の生徒代表から「広くて奇麗な学校で勉強できることになってうれしいです。さらに本がいっぱい揃ってる図書館もあって役に立つ新しい知識を自分で得ることができます。これから本をいっぱい読んで勉強を頑張りたいと思います」とお礼の言葉を受けました。

若生社長
CSD
タンロン
生徒

・ルックナム郡人民委員会 挨拶

・カムリⅡ小学校校長 挨拶

・株式会社ニッコクトラスト代表取締役社長 祝辞

・ベトナムNGO法人CSD 代表挨拶

・生徒代表 挨拶

開校式を記念して小学校、生徒たちに当社から鉛筆300ダース、鉛筆削り300個、教室用電動鉛筆削り13個、ノート1,500冊、食育の教材として野菜とフルーツのぬいぐるみ、牛・豚・鶏の部位が学べるパネルセット、ベトナムで食用されている魚介類のパネルを贈り、タンロングループからは学校向けに自社ブランド米100Kgと学校が推薦する30名に対して特別奨学金1,000,000VNDと自社ブランド米10Kgを贈りました。

ギフト贈呈①
ギフト贈呈②

子どもたちからは歓迎のダンスや思いにあふれた寄せ書きをもらい、感謝の気持ちをしっかり受け止めました。
その後、花火の演出のあるテープカット交流会では綱引きの3本勝負。子どもたちと一緒に楽しめる企画が盛りだくさんの1日となり開校式は終了となりました。

歓迎のダンス
綱ひき

レインボーライブラリー(図書館)の取り組み

日本では、小学校の図書室に多くの本が並び、子どもたちはいつでも読書を楽しむことができることはあたりまえのことですが、ベトナムでは山岳地域の少数民族の居住区域を中心に、読書環境が整っていない地域が多くあります。そうした地域の小学校では、教室にも教員室にも教科書しかないのが実情です。また、生徒の両親や家族にも読書の習慣が無く、家にも本が無い子どもたちが多くいます。
こうした現状を踏まえ、校舎の建設だけでなく、ベトナムの子どもたちにも、本を通じて、豊かで広く新しい世界を知り、将来の夢を育む環境を届けたい、そんな思いから、図書館の併設を決定いたしました。

レインボーライブラリーの具体像

カードの制作

生徒たちは、新しい図書館に夢中になり、読書や図書館での活動に積極的に参加しました。
「ベトナム女性の日」にちなんだ尊敬する女性に贈るカードの制作にも、目を輝かせて参加し色鮮やかなカードを制作しました。

本で新しいことを学ぶ
月カードの制作

読書の時間

小学校の生徒は、図書館司書の指導の下、読書と課外活動に参加しました。読書の時間に生徒たちは集まって本の内容を共有しました。生徒たちに好まれた本は絵本とライフスキルに関する本でした。さらに、チームワークや屋外活動も奨励されました。これらの活動に時間を費やすことで、生徒間のつながりを高まり、個人やチームの成長の機会ともなりました。

読書の時間
質疑応答

クリスマス

クリスマスを楽しみにしない子どもたちはいないでしょう。生徒たちは、クリスマスをテーマに様々な活動を行いました。生徒たちは、図書館司書に薦められて雪の女王その他のクリスマスにちなんだ本を読みました。また、クリスマスの贈り物を制作したり、クリスマスツリーの飾りつけも行いました。生徒たちは、時間をかけて素晴らしく可愛らしいクリスマスツリーを制作しました。

本について話し合い
創造的なクリスマスツリー

STEM実験

生徒たちは、1年の最初の月に本を読んで過ごすだけでなく、お絵描きやSTEM実験などの課外活動にも参加しました。図書館司書の指導の下、生徒たちは実験的な活動に積極的に参加し、理論的な知識を応用して現実の現象を知ることを学びました。特に植物の実験を行い、植物が水を吸収する様子を観察しました。その結果、植物と人間の両方にとっての水の役割について理解を深めました。

読書の時間
植物がどのように水を吸収するか実験

コミューン(社)が校舎を建設、総合的な教育環境が整備

もともとカムリ社では幼稚園(分校)の教室が足りず、子どもたちに必要な就学前の教育を受けさせることができませんでした。また、小学校においても生徒数が継続的に増加しており、教室が足りず2部制授業をせざるを得ない環境にありました。このままでは必要な授業時間が確保できないため、新たな敷地に統合諸学校を建設し、既存の小学校を幼稚園として使用する統合計画が立てられました。
ニッコクトラストが先行して5校舎等を建設したこともあり、現地のコミューンが追加の校舎建設の必要性を政府に訴えたことが功を奏し、地域、教員、保護者など全員が協力して追加の校舎が建設されました。これにより高等教育への進学率の改善が見込まれます。



元気に授業を受ける子供たち

授業①
授業②